オレのこんかつ

これまでに経験した困ったことと、その解決法らしきもののまとめ。あと読んだ本。

ヨーロッパ−中東をお勉強

2010年代になってからずっと落ち着くヒマのないヨーロッパ・中東情勢。ヨーロッパは経済(金融)危機と難民(受け入れ)問題、中東は民主化を求める動きに引き起こされた内戦と難民(輩出)問題、と課題のタネは違いますが、どれにしても一朝一夕に解決する方法はなさそうなのがつらそうです。というわけで、ヨーロッパの問題を勉強するために「欧州複合危機」、中東の問題を勉強するために「サイクス=ピコ協定百年の呪縛」を読んでみました。どちらの本も適度な分量の中に、基礎知識から今後の展開(課題)まで簡潔にまとまってあって、とてもよい本だとおもいます。

欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書)

欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書)

 
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

 

 

「欧州複合危機」 遠藤乾 著 中公新書
2010年代の欧州の苦境を招いた危機を「ギリシャ経済危機」「テロ」「難民危機」「イギリスEU離脱」「日本を含めた外部世界への影響」などに分類してそれぞれを解説している。どの問題も、原理的にはヨーロッパ諸国が肩を組んで包括的に取り組まないといけない問題なのに、実際には各国それぞれの事情のために足並みが揃わず、なかなか話が進まない事情がよく分かる。どれもこれも複雑怪奇な問題だが、むりやり単純化すると、「ギリシャ経済危機」はドイツ、「難民危機」はトルコ、「イギリスEU離脱」はイギリス(の今後のふるまい)にかかっている感じを受けた。なんだけど、ドイツの経済政策(のもとになる哲学)は他のEU諸国の政策とは異なり、トルコは(EU外なので)いわゆるヨーロッパ的な価値観・政策に基づく行動を取ら(れ)ず、イギリス自体が今後の展開を読みきれてない、という矛盾というか利益背反が重荷。テロに関しては、ヨーロッパにおいては最近増えてるのかなあと思ったら、かつてのIRAバスク独立勢力によるテロが頻発してた頃と比べるとむしろ減っているというのが興味深い。ただ、国内組織によるテロと国外から流入してくる(ISやアルカイダなど)組織によるものとでは、国民への影響・国民からの反応が異なってくるのだろう。また今のインターネット時代では、かつてよりテロの「成功率」(どれだけニュース・脅しになるか)が高まっている気もする。

「サイクス=ピコ協定百年の呪縛」 池内恵 著 新潮選書
これまでずっと、(たぶん多くの人と同じように)第一次大戦のイギリスの2(3)枚舌外交が今の中東の混乱・対立を招いた諸悪の根源と思っていた。でもこの本を読んで、(イギリス・フランスの責任はあるにしても)当時の中東自身に自己解決能力が欠けていたこと(他力本願寺っぽい)や崩壊寸前のオスマントルコ帝国の事情がかなり影響していたことなどを知った。なんやかやで100年持ったサイクス=ピコ協定に基づく統治システム・国境線が限界を迎えて、改革を求めた運動・内戦・テロなどが勃発して、難民が大量発生→豊かなヨーロッパをめざして移動→ヨーロッパ的な「人道的」支援の限界を超えているため、「人道的」支援の外側で活動するトルコで足止めするためにEUからトルコに高額援助、という流れ。オスマントルコ帝国(とロシア)の力を抑えるために策定したサイクス=ピコ協定の限界から生じた問題解決(その場しのぎぽいけど)のために、オスマントルコの直系でかつEU的な価値観と異なる政策・統治を行っているトルコを批判しながらも援助(丸投げ)せざるを得ないというのがにんともかんとも皮肉な感じがする。

偉そうに色々書きましたが、このブログを見ると全部解決!←最初に書けやw

hirokimochizuki.hatenablog.com
日本に住んでると、ヨーロッパや中東での事象からの直接の影響を受けることはほとんどないので、遠い国々での知らないできごとと捉えがちで、コミットするのに腰が引けるのも仕方ない気がするけど、せめて情勢だけはそれなりに知っておこうと思った次第。