冬来たりなば春とうがらし

これまでに経験した困ったことと、その解決法らしきもののまとめ。あと読んだ本。

平成にあった「昭和の大学」の墓標 4 鳴かぬなら自分で決めよう時間割

 私が大学に入った頃は、いわゆる「教養部解体」が行われたあとでして、1−2回生の間にかつて「一般教養」と呼ばれた授業(単位)と共に学部提供の専門の単位もいくつか取得するシステムとなっていました。当時の京都大学理学部では、一回生の語学といくつかの理系一般教養科目は(合計週10コマ弱だったと思います)時間割が事前に決められてましたが、一回生時の他のコマや二回生以降はすべてのコマを自由に選べました。なので、ゴールデンウイーク明けくらいに、どの授業をとるのか時間割を提出することになっていました。全ての時間割が決められている高校からの落差が激しいのと、授業の登録についての大学からの説明があまり丁寧でないため、毎年少数ですがそこそこの学生が時間割を登録しないといけないことを知らず、(単位取得の面で)一年間ほぼ棒に振るという憂き目にあったりしていました。

 で、一回生だった私(と他の意識の低い学生)はどうするかというと、
1 時間割の空きコマをすべて、口コミや「虎の巻」で単位取得が容易らしいとの情報を得た(旧)一般教養科目で埋めて登録
2 授業期間を無為に過ごす
3 試験日程やレポートの内容・〆切が発表されたら、(極小の)やる気が続く範囲で、試験を受けたりレポートを出したりする。私の場合、登録した授業のうち試験を受けるかレポートを出したのは、半分弱だったと思います。
4 結果に一喜一憂する
という感じでした。

 ここで、注意深い人ははじめのパラグラフに「(1−2回生の間に)学部提供の専門の単位もいくつか取得する」と書いてあったことに引っかかると思います。上記の行動パターンには、専門科目の登録に触れられておらず、登録コマはすべて一般教養科目で埋めていることになっています。
 そのカラクリ(?)は以下のようになっていまして、
1 理学部の専門科目は(実習や演習を除いて)「履修登録」というシステムがなく、試験を受けたりレポートを提出すると、その授業に登録していたことになる。
2 その「登録していたことになった」コマに一般教養の授業を登録していても、指摘もされず、問題にならない。
3 同一コマに授業のある複数の専門科目の試験が別日程だとすると、両方の試験で合格点を取れればどちらの単位も認定される。
ということでした。つまり、同じコマに一つの一般教養科目と複数の専門科目を「登録」することができるため、原理的にはコマ数の数倍の単位をとることができました。そのため、カリキュラムが「厳しく」なる前の理学部では、入学後ほぼ取得単位がゼロだった学生が突然覚醒して、一年間に卒業に必要な単位を全部揃えて卒業する、みたいなことがままあったようです。

 また、理学部の専門科目はいちおう「〜年生向け」という表示がありましたが、何回生でもどの授業も取ることができました。全く大学生活にやる気のなかった私ですが、浪人中に立花隆さんの「サル学の現在」を読んで感銘を受けていまして、チンパンジー研究で著名な西田利貞先生(亡くなられましたが・・)の3回生向けの専門科目「人類学」だけは、一回生のときにほぼ授業に出席し試験も受けて「優」をとったのが、学部時代の勉学面での唯一の自慢です。当時はサル学を研究したいと夢想していたこともあり、この授業は本当に楽しかったです。

 

サル学の現在 下 (文春文庫)

サル学の現在 下 (文春文庫)

 
サル学の現在 上 (文春文庫)

サル学の現在 上 (文春文庫)

 

 

 次回は、私のような無気力学生が単位を取得するためにどうしていたかを書こうと思います。