冬来たりなば春とうがらし

これまでに経験した困ったことと、その解決法らしきもののまとめ。あと読んだ本。

平成にあった「昭和の大学」の墓標 5 めぐりあい単位

 ここでは、私を含めた無気力学生がどのようにして(努力することなく)必要な単位を揃えようとしていたのかを紹介します。

1 虎の巻と口コミ
 入学式などで、クラブ・サークルの勧誘や不動産屋のチラシの他に(たしか)生協が作っていた授業ごとの単位の取りやすさをまとめた「虎の巻」を入手できました。ただ虎の巻に書いてある内容には間違い(というか評価の個人差だと思いますが)もあり、インターネットもまだまだ未整備でしたので、口コミ情報がやはり一番信用できました。私のような学生が求めていた授業は、
1 出席を取らない
2 期末試験か(短い)レポートで一発評価
というものでして、今の多くの大学生の嗜好とは真逆ではないかと思われます。要するに過程ではなく、結果のみを(ごくごく甘く)評価してほしいという考えのもと、とにかく学校に行かずに単位を揃えようとしていました。私に関して言うと、バイトやサークルなどに力を入れていたわけでもなかったので、今となってはどうしてそこまで授業に行きたくなかったのか、正直わからないところもあったりします。ですが、このような思考の学生は当時はけっこうな割合でいたので、一部の「人気授業」(=単位認定が甘い授業)は激烈な抽選を勝ち抜かないと登録できなかったりしたのですが、そのへんのエピソードは次回に。

 

2 授業のノートを借りてコピーする
 この戦略(?)は古今東西どこの大学でも行われてると思いますが、私の場合はほぼ全く授業に行っていない状態で、試験前の授業に突然来て、それまであんまり話したことない真面目な学生にノートをねだるという、give and takeならぬtake and takeの行為で、当然ノートを貸してくれないことも多々ありました。で、ノートが借りられた場合は、コンビニでコピーすると一枚10円位かかるので、一枚5円前後でコピーできる「コピー屋」と言われるところに行きました。京都大学周辺にもコピー屋が当時5−6軒(もっと?)あったと思いますが、そのうちの一軒は「グリコ・森永事件」の脅迫状が印刷されたことで有名でして、そこに初めて行ったときはなんかドキドキしました。
 ノートをコピーするのはいいのですが、印刷しただけで満足して、そのノートを見ることなく試験を受けることも多く(というかほとんど)て、いろいろ面倒なので、一回生の後期からはノート借りることもしなくなりました。そうすると、ますますどの授業の単位認定が甘いのかという情報を入手して、その授業をとにかく登録するという戦略一本でがんばることになります。

 2回生になったときに親から電話がかかってきて「いろんな授業で教科書買わなあかんやろうから、今月だけちょっと仕送り増やそうか?」と聞かれたのに対して、「どのみち授業行かへんから教科書も買わへんので、増やさんでいいわ」と正直に答えて実家の家計を助けたことはいい(?)思い出です。両親は、周りの人から理系の大学に行くと授業がたくさんあって、教科書代だけでバカにならないとだいぶ言われていたようです。