冬来たりなば春とうがらし

これまでに経験した困ったことと、その解決法らしきもののまとめ。あと読んだ本。

平成にあった「昭和の大学」の墓標 7 秋風五丈原

 私が大学生だったほぼ20年前の京都大学では、「連休後に秋風が吹く」と言われてまして、5月の連休が終わるとキャンパスから人の気配がなくなり、授業の出席率もグッと低下してました。聞くところによると、10年ほど前から連休後もほとんど出席率が変わらなくなったそうです。私も当時の例に漏れず、一回生の5月からほとんど大学に行かなくなりました。ところが、一回生時に単位が思ったより取れ(卒業単位の半分くらい揃いました)、また二回生のときは前回紹介したように語学の授業に恵まれたこともあり、さらに学校に行かなくなりました。たまに(遊んで)徹夜明けなどに気まぐれで1コマくらいポツポツと授業に行く程度でした。
 そうこうしている間に、本当の秋風が吹く季節になり、そろそろ私も3回生からの専門課程のことが気になってきました。3回目の記事に書いたとおり、3回生から系登録という学科配属みたいなものがあり、物理や数学などおおよその専門分野を決めることになっていました。大学生になってから勉強らしい勉強はしたことがなく、どの「系」でも全くやっていける気はしませんでしたが、一つ選ばなければいけなかったので、「生物」を選びました。

その理由としては、
1 4回目に書いたように「サル学の現在」に感銘を受けていた
2 生物なら難しい概念を理解していなくてもやっていける気がした
3 当時は高校生物に分子の話があんまり入ってなく、高校で生物を選択しなかった私でもビハインドが小さいと思った
4 当時はいわゆる「バイオバブル」の真っただ中で、バイオを学んでおけば将来が開く気がした
と、1はともかく他は噴飯ものというか、無根拠で無知のなせるヒドイものでした。

 で、そういや系登録の説明会があるとか言ってたな、と思って久しぶりに大学に行き掲示板を見ると(当時はインターネットがまだ活用されておらず、大学に行かないと情報が得られませんでした)、説明会の日程を記した紙が貼ってありましたが、説明会は終わっていました。ちょっと残念に思いましたが、どのみち行ったところでどの系が向いているのか分かるとも思えませんでしたので、希望する系を書いた紙を事務に提出する日だけ覚えて帰りました(授業に行けよ)。
 結局「生物」登録で希望を出したのですが、当時は上述のように生物学が人気があり、希望者が定員オーバーしてしまい、生物希望者は「自分のやりたい研究」みたいなレポートを提出し、その内容で定員まで絞ることになりました。私は確か「脳に電極を刺して、脳の働きを調べる」みたいな、なんの具体性もない無知の塊のような救いようのない文章をこしらえて提出したのですが、首尾よく生物系に登録することができました。その時私は、「全然勉強しなかったにもかかわらず、激烈()な競争を勝ち抜いて生物系に登録できたオレって意外とやるやん」と内心ほくそ笑んでおりました。後年ある先生にその話をしてみたところ、「〇〇くん、それは違うで。希望者が定員をだいぶ上回っても、レポートを提出させたら、提出数が定員を上回ることはないので、レポートの中身を見る必要はないんや。〇〇くんの年も、たしかレポート出した人が少なくて、(定員オーバーしてたのに)二次募集したんやw」と言われ、穴があったら入りたくなったのでした。
 ちなみに現在は、機械学習などのブームのためか、数学系が人気で生物系は定員割れなのだそうです。