冬来たりなば春とうがらし

これまでに経験した困ったことと、その解決法らしきもののまとめ。あと読んだ本。

山を登って降りる

先日、お子さんを若くして亡くされたご両親と会う機会がありました。亡くなられた人と私の共通の友人の方に誘っていただき、大変ありがたかったです。そのお子さんを亡くされてちょっとした時は、とくにお母さんの憔悴具合がいかにも気の毒で、かける言葉もありませんでした。それからしばらくしての今回でしたので、ご両親とも時間相応に整理がついていているように感じられました。

私は子育ての経験はないので、子どもをなくす気持ちは想像することも難しいところがあります。育てられた経験はありますが、子どもから見た親は、(多くの場合)物心ついたときが完全体で、そのあと時間の長短はあれど衰えていく姿を見ていくことになります。私もおそらくあと10年以内に両親のうち少なくともどちらかを見送ることになるのではないかと、種々の条件を見て思ったりします。
それに対して、子どもをなくすということは、生まれた直後自分で何もできない状態から始まり、物が食べられるようになり、言葉を話すようになり、動き回るようになり、言うことを聞かないようになり、いつの間にか自立していく姿を一通り見たあとで、もう一度動かなくなった姿を見ることになるわけで、その思いはいかばかりでしょうか。

そのご両親からは、亡くなられたお子さんの子供の頃の話を伺い、それにあわせて私の子供の頃や学生時代の話などをしたりしました。私から見るに、ご両親とも楽しんでいただけたように見受けられましたが、最後の方にお母さんがふと、「そういう話を聞いていると楽しいのだけど、ふとどうして自分のところはそうじゃないんだろう(子どもから話を聞ける状況にないんだろう)と思っちゃう」と言われ、返す言葉がありませんでした。

ただただ亡くなられた方のご冥福と、ご両親の心の平穏を祈るばかりでした。